その1.6月16日の授業に向けての課題
次回と次々回は、第3ステージの作業に移る準備として、第2ステージで取上げた社会事象を教材にする上で踏まえなくてはならない諸点を予め検討しておくことをテーマとします。ここで検討するのは、特に次の3点です:
a.取上げる社会事象と現実の子どもたちの生活経験との関わり、接点。
子どもたちには、自分が経験していない事柄、現実の生活の中で感覚できないことを認識すること(ハ)は、その発達段階によってはなかなか難しいことです。生活経験との関わりがある事柄から学習は始まります。
つまり、イ)既に知っていること、ロ)自分たち自身でできる注意や工夫によって、新たに気づいたり知ったりすることができる事柄が、取上げる社会事象のどこにあるかを見つけ出すことが決定的に重要です。
このイ)ロ)から出発しながらも、教師には、(ハ)を促すための「出会い」や「仕掛け」を準備し、イ)を相対化させたり、ロ)を押し広げたりすることになる<働きかけ>を工夫することが求められます。
イ)の相対化、ロ)の拡張によって、どこまでのハ)を目指すのかは、次のbとの関係からも、それぞれの単元目標によって異なります。注意したいのは、より高次の問い(更に学びたいこと)に繋げることであって、道徳な態度獲得によって問いを閉じることは避けねばなりません。
b.この社会事象に関わる学習を、より高次の学習課題へ発展させる手がかり。
子どもたちも、つまるところは社会的に成長し、将来社会の担い手として、その時々の歴史社会の諸課題に向かい合わざるを得なくなります。そこでは、その諸課題に、市民として主体的に立ち向かっていく上で必要となる基礎的素養をどれだけもっているか否かが、その個人の生活だけでなく社会のありようを大きく規定するものとして問われることになります。小学校の各段階で取上げられる社会事象についてのそれぞれの学習についても、子どもたちが将来、自立した市民となっていくうえで求められるより高次の学習に、発展的に繋がるどのような可能性をもっているかが吟味されねばなりません。
c.時間的、物理的、制度的などの制約のある中で、実際に小単元(10~15時間)で教材化する上で取りうる切り口や使える素材など。
ここではbとは反対に、「これなら実際の授業にできる」点を考えてみます。これは実際に学校現場に出なくては分かりにくいことですが、敢えて学生ならではの創意工夫をしてみましょう。
* 16日は、上記のa(取上げた社会事象と子どもたちの生活経験との接点)をテーマとします。他のbとcは23日に取上げます。
各班は、同じ社会事象に取組んだ他班の報告も参考にしながら、aについて検討し、当日、口頭報告できるように準備しなさい。また、予め報告を提出したい班は、B5版1枚にまとめたものを、当日16日の10時までにB212ポストに提出しなさい。
その2.今後の日程
6月16日 第3ステージ準備(1)留意点aについて
23日 第3ステージ準備(2)留意点bcについて
30日 第3ステージ準備(1)<ゴミ問題>小単元構想
7月07日 第3ステージ準備(2)<スーパー/コンビニ>小単元構想
14日 第3ステージ準備(3)<マスコミ問題>小単元構想
なお、「異文化理解」については、7月22日(金)2時限(補講/任意参加)で行う予定です。
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【a.報告例】ここでは、<飲料水/水道>問題を例にとって報告メモを作ってみた:
イ)からロ)へ:
1)毎日、使っていることを確める:どんな時に使っているか?
* 各自の観察ノート、討論
2)必要性:無くなると困らないか?
* 断水の経験、地震被災地の人たちの声、大人からの聞取り
使用量:どのくらい使っているか?
* 計量と計算
一軒あたりの使用量、学校の使用量、人口@人の地域の使用量、
3)コスト
ペットボトルの代金との比較
配水:水道管敷設、ポンプ、タンク、維持管理
4)浄水場
取水はどこから? より上流での下水の河川への配水
* 地図での確認
井戸の生活
* 大人からの聴き取り、地域の地図作り
ハ)蛇口をひねれば水が出ること、水道料金がペットボトルより安いこと。その背景には水道施設があること。水道施設が役割を果すために必要な膨大な仕事が必要となること。
5)水道の配管先:生活用だけか? 産業用は?
* 農業用水
* 家庭以外で、たくさん水を使っている所は?
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