2010年8月19日木曜日

「国際理解/インド」導入部授業案改訂版*ミュシャ班

3ステージ【国際理解】 ミュシャ班  改訂版

1)単元名「カレーの故郷を知ろう!」


2)
単元のテーマ
児童にとって身近な「カレー」をきっかけに、インドに対する理解や認識を深める。

インドについての調べ学習をきっかけに、他国・他文化に対する関心を促す。


3)
子どもたちの既有の知識と予測されること
 『カレーについて』
・カレーは、インドの料理である。

・カレーは、辛い。(カレールーを使うため、香辛料についてはよく知らないと思われる)
・カレーには、ごはんの他にナンがつく。(給食でナンが出るため)
 『インドについて』
・インドは、暑い。

・インドの人は、ターバンを巻いている。


 4)導入を通しての内発的問い

1時間目…カレーを通してインドに対する関心を促す。はじめに日本とインドのカレーの違いを発見させる。

2時間目…1時間目で児童自身が発見したことをきっかけにインドの食文化について講義し、食文化の背景にある思想などについても気付かせ、カレーへの関心からインド自体への関心へとつなげる。

3時間目…調べ学習を通して、よく知らない国や文化への自分なりの近づきかたを身につける。

5)導入の授業計画案(3時間)

■1時間目 【インドに興味を持たせる】  

教師の発問等

活動内容

●予想される発問等・○教師の留意点等

「この粉はある料理につかわれます。

何でしょう?」

「正解!

本場インドのカレーにつかわれます。」

「日本のカレーとインドのカレー、

何が違うのか班で話し合ってみよう。

材料も食べ方も違うみたいだね。」

「班で見つけたことを発表しよう。」

◆机をよせ、班でかたまらせる。

◆各班に香辛料をわたす。

 

◆正解者が出たらスライドで、インド人がカレーを食べている写真を提示する。

(15分)

◆スライドで、上記の写真の隣に

日本人がカレーを食べている写真を並べる。

◆日本とインドそれぞれのカレーのレシピを印刷したプリントを配る。

◆班で話し合い、気付いたことをメモする。

(15分)

◆発表させ、教師が板書する。

(15分)

◆教師は板書した内容を記録しておく。

○授業前に香辛料とスライドの準備をする。

●「カレー」という答えが出る。

○正解者が出ない場合はヒントを出す。

●香辛料のこと、ご飯ではなくパンで食べること、手で食べることなどに気がつき発表する。

■2時間目 【インドについての知識を深める】

教師の発問等

活動内容

●予想される発問等・○教師の留意点等

「前回いろいろな違いを発見できたね。

どうしてインドはこうなのかな?

実はね…(以下講義)」

「インドについて、食べ物以外のことも知りたいね。次の授業からは班で研究をしよう。」

◆前回の板書内容を板書する。

◆インドカレーの種類、地域ごとの違い、日本に伝わった経路、

 肉を入れないカレーがある理由(宗教)、手で食べることについて(思想)…などを、前回の児童の気付きとからませて伝える。

◆児童は「分かったこと」をプリントにメモしながらきく。

(35分)

◆児童は上記のプリントに「インドについて知りたいこと」を書き足してから提出する。

(10分)

○前回の「児童の気付き」の中に重要なポイントがあるはずなので、随時板書した部分を指し示すなどして、児童が授業への参加意識を保てるようにする。

○「インドカレーについての講義」ではなく、

 「インドの食文化についての講義」をする。

 同時にインドについての基礎知識を伝える。

■3時間目 【調べ学習のテーマ決め】

教師の発問等

活動内容

●予想される発問等・○教師の留意点等

「前回はインドの食文化について学んだね。

おさらいしよう。」

「インドについて、食文化以外で知りたいことを研究しよう。

 班で相談してテーマを決めよう。」

「調べかた、発表のしかたは自由だよ。

図書館、インターネット、新聞…

壁新聞、紙芝居…

いろいろあるね。班で相談しよう。」

◆机をよせ、班でかたまる。

◆前回提出したプリントを児童のもとに返す。

◆上記のプリントを班内で交換させ、回し読みをさせる。

(知識や興味を広げさせ、同時に前回欠席した児童をフォローするため)

(10分)

◆班で調べ学習のテーマを決める。

(10分)

◆班で決めたテーマを発表する。

(10分)

◆調べかた、発表形式についてヒントを出す。

◆各班、調べ学習の計画をたてる。

 (どうやって調べるか、

どうやって発表するか)

(15分)

●児童の自主性を尊重し、教師側から「宗教」 や「農業」のような大きなテーマを提示することはしないが、児童のインドについての知識は限られたものであるため、自然とそのような大雑把なテーマになると予想する。

○各班のテーマがあまりにもかぶった場合は調整する。

6)授業の進め方について


 ※インドカレーの調理実習については、社会科の授業としては行わないが、可能ならば家庭科の授業で実施する。

留意点

・児童の学習状況を把握出来るよう声掛け等を頻繁にする。

・発表時間を長くとり、各班が調べたテーマ1つ1つについて教師がコメントする。

まとめ

導入では「日本との違い」を切り口に他国の背景や思想に迫れるということを知ってもらいたい。

そして調べ学習では、「調べる技術」を身につけてほしい。

批評では「インドについて学んだだけでは国際理解はできない」というような意見もあったが、

まずはよく知らない国や文化へのアプローチのしかたを学ぶことが国際理解の第一歩だと考える。

「国際理解/中国」導入部授業案改訂版*ダリ班

第3ステージ 国際理解 「中国」  改訂版

1. 導入テーマ:「中国を知ろう-イメージマップ-

2. 単元の目標:中国は日本と地理的に近く、中国発祥の中華料理や漢字などは日常的に接し、今では生活に不可欠なものとなっている。また、法務省の調べ(2009)によると在日中国人の数は680,518人で、「中国は,昭和50年代から増加を続けており,平成21年末は前年に比べ25,141(3.8パーセント)増加している。」ということから、人々の交流も活発であることがわかる。

子どもの内から、自らの生活に身近である外国の存在に気付くことは重要である。外国の文化などを知り、日本と比較して考えることで国際社会の中の日本という視点も加わり多角的に考えられるようになる。今回は、実際に日本に住む中国人にインタビューをして交流を図り、教科書の学びとは異なる「人からの学び」を身につけることを狙う。またそうして見えた文化(生活・慣習など)の面白さに気付く。

そして、これをきっかけにして中国に興味を持ってニュースなどを観ることによって自主的に国際理解をしていけるようにする手掛かりとする。

3. 児童の既に知っていると思われること:

中国の位置(アジア、日本の近く)、国土が広い、人口が多い、中華料理、チャイナ服、北京オリンピック、上海万博、パンダ、中国製品(MADE IN CHINA)、毒入りギョーザ事件 など

⇒ ◎ニュース・新聞・雑誌などで大きく取り上げられる(目に入りやすい)事柄 

 ×民族問題・文化など、複数の要素が重なっている事柄や知識(情報)を前提とした理解の必要な事柄

4.導入の授業案(3時間)

1時間目:「中国について-イメージマップの作り方」

児童の活動内容

・予想される反応と*留意

この(黒板)の中に、あるアジアの国で生まれた文化があります。それはなんでしょう?⇒漢字・中国

□質問に対して考える。

今度は、皆が知っている「中国」のことを教えてください。

□自分が知っている中国についての事柄を挙げる。

□イメージマップについて説明を受ける。

・どういうものか

・つくりかた

□班(6人くらい)ごとにイメージマップを作る。

  ・黒い水性マーカー等で、模造紙にかいていく。

・漢字/・チョーク(イギリス)/・黒板(アメリカ)

*黒板に板書をしておく(日付など)

・中国の位置(アジア、日本の近く)、国土が広い、人口が多い、中華料理、北京オリンピック、上海万博、パンダ、毒入りギョーザ事件 など

*どの発言も共感をして、意見が出しやすい雰囲気作りをする。

*例を示す(異なるテーマのイメージマップを例として見せる)

・簡単に出来そう→*気軽に取り組み始める事が出来るようにする

*完成には時間が足りないので、(次回も書く)イメージを自由に書くことが出来る練習に当てても良い。

*人数が多く、作業が困難な場合のみ更に2~3人の班に分けて良い。

2時間目:「イメージマップを作ってみよう」

児童の活動内容

・予想される反応と*留意点

□イメージマップ作りの続きをする。

今度、地域に住んでいる中国人の方(大体の紹介をする)にお話を聞きます。そのときに班ごとに1つずつ質問をするので、イメージマップをつくったり、見たりして疑問に思ったことを考えましょう。

□完成したイメージマップを見ながら、個人で疑問を考える。

*イメージマップの作り方を復習する。

*一人一つはイメージ(の広がり)を書くようにする。

*インタビューの方法や注意を確認しておく。

*今後の展開で、中国人の方への質問をする機会があることを告げる。

*中国人の方の出身地や生活についても事前に把握、紹介しておく。

・今までイメージ程度の理解であった事がマップに表されるので、広がり方や内容によって現在の把握の状況がつかめる。(書ける・書けないなど)

→意識が強くなる。

*必要ならば、ノートに書き留めるように指示をする。

3時間目:「質問作り‐インタビューの準備」

児童の活動内容

・予想される反応と*留意

□個人で疑問を発表する

□班で一つ質問を決める

□全体で質問を発表する。

□質問会に向けて、役割分担をする

・インタビュアー(1~2)・記録係(班内)(4~5)

・似た疑問を持つ子どもが居る可能性があるので、適宜全体へ疑問を落とし込む(共感する)

*来てくださる中国人の方の出身地や生活などを事前に把握し、子どもの質問に失礼のないように見回り、助言をする。

・質問例:日本の中華料理と中国で食べられている料理で違うところはありますか? など

・色々あって決められない一番多かった質問を選択する

*同じ質問が出た場合は、合同で1つにしてもよい。

5. これからの展開

〈展開〉近隣の国際交流施設(例:さいたま市国際交流協会)や大学の留学生などの日本語がある程度通じる中国人を招いて話を聞く。(自己紹介、質疑応答(インタビュー)

インタビュー以前(イメージ)で変わったところや、実際に話を聞いてわかったこと・思ったことを班ごとにまとめる。

イメージマップに別の色で書き足し・訂正をして、その外形的なアプローチから変化に気付く。変化のないところは調べ学習に移すなどをして課題を整理していく。

〈発展〉実際に中国人と接したり、話を聞いたりして文化の違いを自覚した。それらを踏まえて、本格的にインターネットや図書館を利用して調べ学習を行う。

 ⇒調べ学習後は、個人でインタビューやイメージマップの変化、調べて分かったことを小新聞形式にまとめる。

→冊子にして、クラス全体での情報や考えを共有する。(インタビューを受けて下さった中国人の方にも渡す)

6. 授業案について

他の教科や以前の社会科の学習において調べ学習の経験があるという前提のもと、人に聞いて調べる・学ぶと言う基本的な事項を大切にする授業にしたい。

イメージマップは他の題材よりも自由度が高いので、縛られずに色々なことがかけると思う。また、訂正を加えることでイメージが具体的になること・過程を実感できるはずである。自分で訂正を行うことで、その後の学習の印象も変わってくる。

これをきっかけにして、中国についてだけでなく個人でも他の外国に対しても同様に調べていくことが出来るようになると良い。

中国についても良くない印象の報道がされがちであるが、自分で直接調べていくことでその印象が一人ひとり異なった自分なりの見方や考え方になり、身につくようになれば良いと考える。

7.参考

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri04_00005.html 〈法務省平成21年末現在における外国人登録者統計について(注)中国には中国(台湾),中国(香港)を含む。〉

http://www.saga-saitama.or.jp/index.php 〈財団法人 さいたま市国際交流協会〉

8. 改訂版について

コメントから、主に以下の事柄を中心に参考にして改訂を行った。

・中国を取り上げる理由が明確でない

・調べた学習の後の発表の仕方の工夫     

・イメージマップの使い方(2回作るのではなく、書き足す)

・インタビューのときに中国人をどこから連れてくるのか、失礼はないのか、質問の内容が子どもの興味にのみ頼ってしまうのはどうか

・近所に中国人がいるのは特殊なのではないか? どういうふうに手配するのか、いないときは?

というような意見や疑問・指摘が目立ち、自分たち自身も再考して授業案の細部を組み直してみた。特にイメージマップを2回書くことを1回にしたことは大きい変化である。

質問の内容が子どもの興味にのみ頼ってしまうという指摘についてだが、今回の単元においては興味のないことを機械的に調べることのできる調べ学習でなく、人による学習という面に重きを置いているのでそのままとする。貴重な機会ではあるが、多くの情報を得ることだけを目的にしてしまうとそれこそ調べ学習と変わらないと思う。1つの質問に絞ると言う点において、質問の質を高めるために試行錯誤する段階を踏めると思うので良い。

 国際問題は、個々の目的意識をはっきりと持たないと表面的な調べ学習になってしまう可能性が大きい。国同士の問題などの規模が大きい問題になると実感がない(得られる機会が少ない)分、自分に関係のあることとしても考えにくい。そのきっかけともなる機会に、自分で興味を持ったことについて、話を聞くなどの身近な体験から入っていくべきであると考える。

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