2008年7月24日木曜日

A.何を学ぶか
B.何のために学ぶか
C.誰が学ぶのか
D.どのように学ぶのか
E.教室/学校で学ぶ意味は何か
F.教師の役割は何か
G.次(の学び)にどうつなぐか

A.目標と狙い

ここで前提として踏まえておくことは、<何を何のために学ぶか>の基本点です。

<何を>:それは将来社会の担い手の一員として、他の人々と共同して取り組まなくてはならないであろう問題(社会問題)に、つながっている当の子どもたち自身をもとりこんでいる今現在の社会問題になるでしょう。
この社会問題はどの時代にも同じものではありえず、むしろ人類の歴史社会の変化、そして当の子どもたちが置かれている国家社会の中で変化するものです。ある時代や社会では、炭坑や重化学工業、鉄道、兵役や納税を「国民」の義務として取り上げることがあるでしょう。南北問題や地球温暖化(気象変動)問題、ゴミ問題が、そもそも社会問題として学習指導要領でも、またほとんどの教科書でも取り上げていなかった時代もあります。
何をとりあげるか、それは学習指導要領を手がかりとしつつも、あくまでも教師集団が自主的に検討し続けるべきことがらです。

<何のために>:それは主体的に(つまり自分の意思に基づいて)取り組んでいく

<狙い>:子ども達の既有の経験、知識(出発点α)から出発して、より広く深い認識(現在人々が取り組んでいる、あるいは子ども達が将来たちm究極的には人類が直面している課題)βに繋がっていく社会的認識と実践志向(意欲)の、必要不可欠の、しかしわずかでもあっても「次の一歩」を、子ども達自らが学ぶこと。これが社会科の授業の総ての目標を考える際に共通する基本的視点です。

イ)出発点αは子ども達の既有の経験、知識からかけ離れていないか
ロ)より広く深い認識(究極的には人類が直面している課題)βに至る「次の一歩」に繋がる学習活動の道筋が、無理なく(楽しく)設計されているか。
ハ)その問題を自分たちの問題として取り組む意欲が高まって行くようにデザインされているか?⇒「評価」における態度・姿勢

B.学習単元の構成(略案)
αからβに至る子ども達の学習活動の時間配分。
学校での実際の授業時間には限りがあります。「あれもこれも」ではなく、一つでもよいから「次の一歩」に繋がる確かな学習活動を設計することが教師の最初の実際的な仕事になるでしょう。
その際に考慮すべき点は次の3点です:

第一:毎回の授業と授業の繋がり、毎回の授業の内部の展開に道筋がたっていること
<道筋>とは子ども達自身が思考し、情動のなかで確かめることができるかどうか。子ども達の思考や情動からかけ離れたものを、「偉いセンセイ」が上から降りかざし、刷り込むことは禁物です。
1)問題との出会い:再発見、驚き;
2)子どもなりの疑問、実践的意欲、
3)問いに対する答えの探求:クイズや暗記ではなく、合理的思考・推論、裏付け(問題の解決)、
4)まとめ:分かったこと・達成の確認と残された課題(疑問やより大きな問題)
第二:時間配分、所与の学校環境などから無理なく設計されていること
 普通は、45〜50分の1授業時間には1つの活動
 つまり、集団的人間活動の時間的限度では、一つの「問い」問題について学ぶことが限度です。
第三:楽しい(C*Dのやりとり)

C.取上げた題材の適切性
イ)子ども達に身近か:関心が持てる、疎外感がない
ロ)学級での子ども本位の学習活動で扱えるか
ハ)発展可能性(βに繋がって行く)

D.教員の触媒的活動

αからβへの子ども達自身の展開、飛躍を手助けする。
子ども達自身の展開、飛躍する姿に教員自身が感動し、そこからも学ぶ。
教員自身も学ぶ。
落水型(誘導、説教、恫喝など)は禁物

E.学校・学級という集団的学習環境を活かしているか

F.その他

「教材観」:ここではとりあげる題材が、Aの点で適切であることがメモされればよい。Cについて触れても良い。

「指導観」:ここではDとEの点で適切であることがメモされればよい。
具体的には、
(イ)授業の略案(単元の授業計画の大まかな構成と流れ)、
(ロ)導入部分の一時間の授業計画
以上の二つを作成し、それぞれB5版2枚以内にまとめたものを提出しなさい。
当日は、(イ)について簡単な説明をしてもらった後、(ロ)を約20〜25分「模擬授業」してもらいます。

これらの作成に当たっては、
1)身近で経験できる事柄で、それが関わる社会問題へのより広く深い認識へ広がる可能性をもった事柄を、授業の題材としてとりあげること。
2)各授業時間の主要な「問い」(発問)や、取り組む活動は一つに絞ること。
3)子どもたちの興味関心を、身近で経験できる範囲や事柄から、それが関わっている社会問題へとより広く深い対象へと発展させ、認識を深めることを促す上での、教師の触媒的活動や働きかけに工夫をこらすこと。

2008年7月17日木曜日

歴史分野の学習指導準備(明治維新の例)

ゴミ問題や農業問題についての情報・資料と、「歴史」に関する情報・資料とでは、手軽に使えるものは随分に様子がことなる。
歴史の分野では、初学者が頼りになるサイトは殆どない。詳しい年表を眺めたからといって、それで「歴史」が把握できるわけではない。
1853 ペリー艦隊、浦賀へ
1854 日米和親条約
1858 日米修好通商条約、安政の大獄
    西南有藩で尊皇攘夷運動活発化
1864 四国連合艦隊、下関占領
    江戸、大阪などで打ち壊し
1866 薩英同盟
1867 大政奉還・王政復古
1868 戊辰戦争、五箇条の誓文
1869 版籍奉還
   「四民平等」の身分制改革
1871 廃藩置県
1872 学制
1873 徴兵令、地租改正
1874 「征韓論」の高まり
   民選議員設立の建白書
1875 樺太・千島交換条約
1876 朝鮮と修好条約
1877 西南戦争

、、、、だからどうした? こうした言葉の羅列を暗記することが歴史の学習なのか? 「歴史」を学ぶ現在は学ぶ対象の時代や事件からどんどんに遠ざかって行く。時間が遠ざかれば多くの事は相互関係が薄くなる。それなのになぜ? 授業時間の制約(いわゆる学習対象の精選問題)もある。ではどうするか?
山を登って行くと麓からは遠ざかるのに、却って全体の光景がよく見えて来ることがある。学習する時点と学習対象の時代との関係には、それに似たところがある。いずれにしてもそこで問われているのは、現在と過去との<対話>なのだ。どのような過去(山麓)を歩んで来たことが、今の自分たちを規定しているのか。どこで曲がったことが現在に影響しているのか。その時点で曲がらずにどうしてまっすぐ進んだのだろうか、等々。

人間の社会生活がさまざまな地理的条件に制約されているように、現在の私たちの生活も過去の歴史条件に制約されている。そのことをひたすらに「誇りに思う」ためでも、「過ちを繰り返さないために反省する」ためだけでもなく、冷静に見直し、過去私たちの祖先が歩んで来た生活や社会の仕組みをより深く知ることが、将来を考える可能性を左右するといっても過言ではない。

「歴史の流れ」という。水は高いところから低いところへ、一方通行的に移動する。この社会は水のように、<上から下へ>、いつでも同じ速度で「流れ」て行くものだろうか?

確かに人間の社会も時間軸の中で変化する。
<「前の社会」と「後の社会」ではどこが異なるか。社会の特徴、構造にどのような違いがあるか。そうした変化はなぜ生じたか。その結果、その後の社会の変化にどのような方向付けが与えられたのか?>
水の「流れ」と同様に捉まえることのできない、変化の中身・質を把握することが問われている。

高校の日本史の教科書も、明治維新とは何かを考えるうえで基本的に踏まえるべき事柄をコンパクトにまとめているので参考になる。
しかし、検定教科書は上記のような問いにもとづく学習に答えるものには必ずしもなっていない。そこで参考になるのは、図書館の歴史・日本史・日本近代史のコーナーにもある、さまざまなシリーズものや「講座」ものだ。それらも大部で読み切れないというのであれば、例えば次の概説的な入門書を参考にして欲しい。

大日方純夫『はじめて学ぶ日本近代史(上)』大月書店
田中彰『明治維新』岩波ジュニア新書

第3ステージ報告の批評

A.目標と狙い
イ)出発点αは子ども達の既有の経験、知識からかけ離れていないか
ロ)より広く深い認識(究極的には人類が直面している課題)βに至る「次の一歩」に繋がる学習活動の道筋が、無理なく(楽しく)設計されているか。
ハ)その問題を自分たちの問題として取り組む意欲が高まって行くようにデザインされているか?⇒「評価」における態度・姿勢

B.学習単元の構成(略案)
αからβに至る子ども達の学習活動の時間配分
第一:道筋がたっていること
1)問題との出会い:再発見、驚き;
2)子どもなりの疑問、実践的意欲、
3)問いに対する答えの探求:クイズや暗記ではなく、合理的思考・推論、裏付け(問題の解決)、
4)まとめ:分かったこと・達成の確認と残された課題(疑問やより大きな問題)
第二:時間配分、所与の学校環境などから無理なく設計されている
 普通は、45〜50分の1授業時間には1つの活動
第三:楽しい(C*Dのやりとり)

C.取上げた題材の適切性
イ)子ども達に身近か:関心が持てる、疎外感がない
ロ)学級での子ども本位の学習活動で扱えるか
ハ)発展可能性(βに繋がって行く)

D.教員の触媒的活動

αからβへの子ども達自身の展開、飛躍を手助けする。
子ども達自身の展開、飛躍する姿に教員自身が感動し、そこからも学ぶ。
教員自身も学ぶ。
落水型(誘導、説教、恫喝など)は禁物

E.学校・学級という集団的学習環境を活かしているか

F.その他

「教材観」:ここではとりあげる題材が、Aの点で適切であることがメモされればよい。Cについて触れても良い。

「指導観」:ここではDとEの点で適切であることがメモされればよい。

2008年7月3日木曜日

急告:7月3日休講



病気のため本日7月3日の授業を休講します。申し訳ない。
直前の連絡になったこともお詫びします。
一回ずつ先に送り、最終回(明治維新の2回目)は補講ないしテスト週間に行うこととし、改めて知らせます。

第2ステージのレスポンス・レポートについての追加指示、および第三ステージの小単元略案(大筋の構成)と授業案作成についても、体調回復次第、まずはこのブログで知らせます。

2008年6月29日日曜日

ザ・メイキングというサイト

サイエンス・チャンネル ザ・メーキングというサイトというサイトがある。

一万円札ができるまで、マヨネーズができるまで、カップ麺ができるまで等々と、見ているだけで楽しいというか、あきれ驚くようなものが少なくない。およそは作成企業の宣伝がベースにあり、作成年も10年前とか古いものも多い。しかし、見た前と後とではその商品に対する感覚が違ってくる。

中には社会科の授業でも使えそうな映像がある。たとえば、(16)アルミ缶のリサイクル、(32)お菓子ができるまでなどなど。
時間があるときにチェックしておくと良い。今度のゴミ問題でも大きな比重を占める紙関係なら、(10)雑誌、(31)ティッシュペーパー、(107)紙コップ、(123)ノート、(128)トレペ、(210)和紙あたり。農業では、大豆に係わり(91)しょう油、(136)トウフ、(166)納豆、

http://sc-smn.jst.go.jp/4/series.asp?i_series_name=THE+MAKING

2008年6月20日金曜日

第3ステージの報告作成について

実際に組み立てる練習をします。

その際に、次の七点を念頭に置くこと:
A.何を学ぶか
B.何のために学ぶか
C.誰が学ぶのか
D.どのように学ぶのか
E.教室/学校で学ぶ意味は何か
F.教師の役割は何か
G.次(の学び)にどうつなぐか

具体的には、
(イ)授業の略案(単元の授業計画の大まかな構成と流れ)、
(ロ)導入部分の一時間の授業計画
以上の二つを作成し、それぞれB5版2枚以内にまとめたものを提出しなさい。
当日は、(イ)について簡単な説明をしてもらった後、(ロ)を約20〜25分「模擬授業」してもらいます。

これらの作成に当たっては、
1)身近で経験できる事柄で、それが関わる社会問題へのより広く深い認識へ広がる可能性をもった事柄を、授業の題材としてとりあげること。
2)各授業時間の主要な「問い」(発問)や、取り組む活動は一つに絞ること。
3)子どもたちの興味関心を、身近で経験できる範囲や事柄から、それが関わっている社会問題へとより広く深い対象へと発展させ、認識を深めることを促す上での、教師の触媒的活動や働きかけに工夫をこらすこと。
4)同じ領域に取り組む他班と同じ題材を避けること。やむを得ず同じ題材を取上げた場合も、3)に各班独自の工夫を凝らすこと。

なお、当日の発表者は、各班のメンバーから三輪が指名します。

第一領域「ゴミ」の参考資料(2枚半)は、B212まえの箱に入れました。新技体、国専A、保健体育A、保健体育Bのメンバーは、各自取りにくること。

2008年6月19日木曜日

社会認識の基礎問題(その3)

080529 <農業問題>を通して見えてくるもの

A.農業も人間と自然との物質代謝過程の中で営まれている <自然と人間との関係の領域>

農業の自然的条件:<土地>
 1)土地の有限性:どこでもコメが作れる訳ではない、穀物のための開拓でジャングルが失われる
 2)気象による制約:災害、温暖化

← 国境を越えた地球規模での有限性・制約

 3)(自然界に存在しなかった)化学肥料、農薬による環境汚染;ポストハーヴェスト問題
 4)(自然界に存在しなかった)遺伝子組み換え農産物による自然との物質代謝過程の攪乱

→ 安全問題:人間内部の自然の攪乱

B.農産物の価格 <人間の物質的相互関係:経済の領域>

1)需要と供給の商品関係(市場)による決定(C−1)

→ 2007〜08年の急騰は需給関係で説明できるか?

資本:儲けのための資金 ⇒ その投資:「資本の市場関係」

石油や穀物に投資される資金のそれぞれ数百倍以上が、金融デリバティブで全世界を駆け巡っている
   

2)「高い国産食料よりも安い輸入食料」で良いか?

  * 安全性に不安、新鮮さ・「おいしさ」に欠ける、輸送時のCO2排出;産出国(輸出国)の変動(天候変化、不作、政治経済事情)に振り回される

  * 農業経営者の生活の安定:会社、株主・投資家の儲けではなく

→ 人為的規制:国内農家への交付金や低利融資、輸入関税、政府による買取り(価格支持)、土地改革、灌漑・道路整備など
      cf. ゴミの排出・リサイクル・処理の負担


D.<規制>(Cに対する)が社会課題になる:

規制の内容、その目的や基準;規制の内容の作る手続や仕組み、規制を行う主体など。
これは社会構成員の<共通の問題>:公共事項となる

<政治と法の領域>:

何を公共事項とするか、それをどのような手続きで決定するか、どのように誰が実行するか、その財源はどうするか

E.A〜Cについての人々のものの感じ方、考え方、判断基準:<文化>の領域

2008年6月13日金曜日

レス報告について

1.第2ステージでの各班報告に対する他班の批評を渡すため、B212研究室の扉に置きます。

2.他班の批評および授業中のミワのコメントを踏まえて、「第2ステージの報告準備」の指示(このブログの記事参照)にそってレス報告を作り、第3ステージの報告前に提出すること。

3.レス報告には、(イ)取り組んだ問題を教材化し授業で取り上げる場合に考えうるテーマ、(ロ)レス報告作成に用いた文献・資料の一覧をつけ、(ハ)分担を明記すること。
レス報告の字数制限は設けない。

2008年5月23日金曜日

社会認識の基本問題(その2)

080522 <農業問題>を通して見えてくるもの

A.農業も人間と自然との物質代謝過程の中で営まれている

農業の自然的条件:<土地>
 1)土地の有限性
 2)気象による制約

← 国境を越えた地球規模での有限性・制約

 3)(自然界に存在しなかった)化学肥料、農薬による環境汚染
 4)(自然界に存在しなかった)遺伝子組み換え農産物による自然との物質代謝過程の攪乱

→ 安全問題:人間内部の自然の攪乱

B.農産物の価格

1)需要と供給の商品関係(市場)による決定(C−1)

→ 2007〜08年の急騰は需給関係で説明できるか?

2)「高い国産食料よりも安い輸入食料」で良いか?

  * 安全性に不安、新鮮さ・「おいしさ」に欠ける、輸送時のCO2排出;産出国(輸出国)の変動(天候変化、不作、政治経済事情)に振り回される

→ 人為的規制:国内農家への交付金や低利融資、輸入関税、政府による買取り(価格支持)、土地改革、灌漑・道路整備など
      cf. ゴミの排出・リサイクル・処理の負担


D.<規制>(Cに対する)が社会課題になる:

規制の内容、その目的や基準;規制の内容の作る手続や仕組み、規制を行う主体など。

社会認識の基本問題(その1)

080515 <ゴミ問題を通して>見えてくる社会認識の基本問題

A.人間生活は、自然と人間社会との物質代謝過程の中で営まれる。

人間は、労働によって自然に働きかけ、そこから生活に必要な物質を生産する。
人間生活におけるモノの生産と消費の過程で、自然界にモノが排出される。

循環されずに堆積されるゴミ

B.ゴミの削減、リサイクル、処理は、「社会的課題」となる。

その費用を誰が負担するか? 
生産者・販売者・消費者?

C.<大量生産・大量消費>を支える社会条件:

その1:資本制商品経済

商品:売ることを目的として作られる
  売れなければ商品市場では(まだ使えるモノでも)「ゴミ」
  人間生活に不要なモノでも売れれば商品であって「ゴミ」ではない

その2:社会的に作られる<欲望>

2008年5月19日月曜日

明治維新を学ぶ初歩的文献

ゴミ問題や農業問題についての情報・資料と、「歴史」に関する情報・資料とでは、手軽に使えるものは随分に様子がことなる。
歴史の分野では、初学者が頼りになるサイトは殆どない。詳しい年表を眺めたからといって、それで「歴史」が把握できるわけではない。
1853 ペリー艦隊、浦賀へ
1854 日米和親条約
1858 日米修好通商条約、安政の大獄
    西南有藩で尊皇攘夷運動活発化
1864 四国連合艦隊、下関占領
    江戸、大阪などで打ち壊し
1866 薩英同盟
1867 大政奉還・王政復古
1868 戊辰戦争、五箇条の誓文
1869 版籍奉還
   「四民平等」の身分制改革
1871 廃藩置県
1872 学制
1873 徴兵令、地租改正
1874 「征韓論」の高まり
   民選議員設立の建白書
1875 樺太・千島交換条約
1876 朝鮮と修好条約
1877 西南戦争

、、、、だから?

「歴史の流れ」という。水は高いところから低いところへ、一方通行的に移動する。この社会は水のように、<上から下へ>、いつでも同じ速度で「流れ」て行くものだろうか?

確かに人間の社会も時間軸の中で変化する。「前の社会」と「後の社会」ではどこが異なるか。社会の特徴、構造にどのような違いがあるか。そうした変化はなぜ生じたか。水の「流れ」と同様に捉まえることのできない、変化の中身・質を把握することが問われている。

高校の日本史の教科書も、明治維新とは何かを考えるうえで基本的に踏まえるべき事柄をコンパクトにまとめているので参考になる。
しかし、検定教科書は上記のような問いにもとづく学習に答えるものには必ずしもなっていない。そこで参考になるのは、図書館の歴史・日本史・日本近代史のコーナーにもある、さまざまなシリーズものや「講座」ものだ。それらも大部で読み切れないというのであれば、例えば次の概説的な入門書を参考にして欲しい。

大日方純夫『はじめて学ぶ日本近代史(上)』大月書店
田中彰『明治維新』岩波ジュニア新書

2008年5月18日日曜日

農業問題の資料・初歩的文献

班報告にはサイトに偏った情報収集が見られる。
次ぎに参考になる初歩的または概括的な文献を掲げる。
参考にされたい。

大野和興『日本の農業を考える』岩波ジュニア新書、2004年
梶井功『日本農業のゆくえ』岩波ジュニア新書、2001

大野和興・西沢江美子『あぶない野菜』めこん、2001

田代洋一『WTOと日本農業』筑摩書房ブックレット、2004
西川潤『食料』岩波ブックレット

農林水産省のサイト:http://www.maff.go.jp/
ここには政府サイドからではあるが、有用な資料が掲げられている:

たとえば、「食料・農業・農村白書」(各年度)
http://www.maff.go.jp/j/wpaper/

北林寿信氏の「農業情報研究所」のサイトもしっかりしている:
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/

2008年5月16日金曜日

「農業」の報告について

各班は取上げた題材(麦、コメ、大豆、野菜の農業生産)の中にある一つか二つの大きな問題にしぼって報告を作ることを勧めます。
その問題としては例えば次のようなものが適当です。

大豆(コンバイン):自給率、国際価格変動;遺伝子組み換え(食品)
麦(INO):日本の麦作りの過去と現在(埼玉の麦作りはなぜつぶれたか?)
野菜(チョコ):フード・マイレージ、産地指定制度;開発輸入、輸入野菜の安全性
コメ(こくぎ):米価、減反、農業で暮らしをたてること(農家の経営)、水田の役割(国土のあり方)

2008年5月14日水曜日

社会について学ぶこと

1.暗記で学べるものには限界がある

<情報を仕入れ保存すること>は社会について知ることの一部でしかない。あれこれの雑多な知識、情報を仕入れて蓄えても、それは「トリビアの泉」と変わらない。様々な事柄についての色々な情報、その相互の関係と動きが掴めないと、単なる「物知り」にしかならない。

「物知り」になることは、場合によっては受験のような作られた試験で役に立つことがあるかもしれない。しかし、それは実際の生活では生きることのない「死んだ知識」でしかないのではないだろうか。私たち人間にとって、社会についての知識・情報は、自分の存在と結びつけられたものでない限り意味をもたないのではないだろうか。

私たちは、情報を仕入れて記憶(保存)する単なる記録装置ではなく、私たちが向かい合っている社会の中に生きている存在である。私たちは、私たちの「周り」にある社会関係によって影響され規制されていると同時に、私たちの存在自身が「周り」の社会関係に対して影響を及ぼしている社会内部の存在である。私たちが社会について知るということは、私たち自身がどのような社会関係の中にいるのかを知ることであり、自分がどのような社会的に規定された存在であり、また社会に対して影響を及ぼし・働きかけうる存在であるかを知ることである。

2.対象(社会)と認識主体(自分/自分たち)との不可分性

1)何が問題か?

どんな社会事象について「事実」でも、私たちにとってはある意味を迫ってくる。それが自然現象のように見えていても、そこで人間が関われば(ex. 地震による被災)それは社会をつくって存在する人間にとっての問題、つまり社会問題になる。

自分の五感には直接に感じられない遠くの地域でおこった出来事でも、それが人間に関わる出来事であれば、なんらかの繋がりを通して自分にも影響してくる(ex.アフリカの飢餓)。直接・間接の程度の違いはあっても、それは私たちにとって、「じゃあどうするのだ」という問い、つまり問題として迫ってくる。

「だからどうした?」「自分には関係ない」という対応もある。しかし、自分がまったくの無縁で、影響も受けず影響も与えないところにいる事柄はどれだけあるだろうか。「自分には関係ない」という態度を取ること自体が、その社会事象に一定の影響を与えてしまうとはいえないだろうか。

「ではどうするか」等の問いが次に来ることも多いだろう。しかし、ここでまず気づくことは、人間は、ある社会事象についての情報「事実」に接したとき、単にその「事実」を記憶・保存するだけの存在ではないことである。殆どの人は、その情報の自分にとっての意味づけを行い、その中の多くの人は「ではどうするか」と意識する。

2)問題の原因

3)原因の解明の仕方

4)人類の知的蓄積(学問)

3.ニュースを追う

3−1)社会は絶えず動いている

社会は今この瞬間にも、私たちが眠っている間にもあたかも自然現象のように絶えず変化し動いている。その「最先端」に私たちはニュースで接することができる。もちろん、日々の個々人の経験も一つ一つの社会事象である。しかし、社会についての理解を深め広げるためには、単に自分の個人的経験の圏内に注意関心を留めていてはならない。


3−2)追っかけ

就職試験の間際になって「一般常識」「時事問題についての知識」を短時間で仕込もうとする人がいる。そのための対策本まである。しかし、その程度のことは、毎日あるいは二日に一回、ニュースに注意していれば、いわば自然に身に付いてしまうものだ。試験の直前に「時事問題」対策本を読むのは、終わってしまったその年のプロ野球やJリーグの一年の経過を振り返って見るようなもので、簡単に一年間の経過は分かるかもしれないが、面白くもない。

プロ野球やJリーグなら一試合一試合を丁寧に見ていなくても、時々「ああ、昨日はXXが勝ったな」とか、「二日連続に○○を使ったから、今日は▽だろう」とか、「このところ○Xは調子がいいな」くらいのチェックをしていれば大まかなことは分かってくる。丁度そんな調子でニュースに付合えば良い。初めは良くわからなくてもそのうち分かってくることは、スポーツ観戦と同じところがある。好きなチーム・選手や嫌いなチーム・選手がどうなったかに注意して追っかけていると、何となくシリーズやリーグの全体が見えてくることがある。そんなように、興味がもてる問題や人物、組織・団体の動きに注目して、ゲームでも見るように追っかけていくと、社会の動きの全体の姿が少しずつ見えてくるところがある。

第1ステージの討論を踏まえて

三つの問いについて考えてみた。
そこから次のことが言えるのではないだろうか。
第2/第3ステージを通して考えて欲しい。

1.暗記本位の「社会科」は、社会科嫌いを作るだけでなく、自分たちがこれから生きて行く社会の諸問題に対して受身で消極的な人々を作ってしまう役割を果たす。

2.社会科の学習・教育は、学習主体のこれまでの経験、現在の実感から出発しながらも、自分たちがこれからその中で生きて行く社会の諸問題に対して関わっていく姿勢を立ち上げ、そうした力量を養っていくことにこそ、主眼を置くべきではないか。

3.社会科の学習・教育に携わる教員自身が、社会の一員として、自分たちがその中で生きている社会の諸問題に対してどのように関わっているかが、社会科教育活動の内容と水準を左右する。

2008年5月8日木曜日

社会科教育授業で大切したいこと

 

現在のニュースに上がる問題を子供は難しく大人のこと・問題だ、と他人事に思っている。
だから社会科は興味もわかず面倒くさい、嫌いとなってしまっている。
 
ゆえに社会科教育授業では子供に「自分達も考えなくては!これからどうしていかなければならない!」と思わせる問題提起が重要であると思う。
内容としては身近にあるものを使って、実際に実物を見たり使ったりしたほうが良い。
ex)農業
 商品に書いてある産地を調べていく など。

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<コンバイン>

地理と公民と歴史を交えながら教えること。
個人の利益ではなく、社会全体の利益になるような教育をする。
子どもが興味を持てるように、雑学も取り入れる。
メディア(新聞など)を使う。
 それによって自分の生活と関連付けられるようになる。例えば、衆議院の再可決とガソリン税の問題。 

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<新技体>問3社会科教育・授業で大切にすべきこと

・ユーモアのある授業展開。
→淡々と進んでいく授業はつまらないので、児童の興味をどうやったら引き出せるのかを常に考えておく。

・教科書の内容だけでなく、関連する雑談も加える。子どもに親近感を持たせられるように、身近な例を出す。
→子どもたちの生活に関連付け、理解しやすい説明をする。

・子どもの視点に立ち、子どもたちと一緒に考える時間を持つ。
→大人が知ってて当たり前と思うことでも、一緒に学んでいくという意識を持つことで、教科書を読むだけの児童置き去りの授業にならないようにする。

・教師自身が「なぜ社会科が必要か?」という問いに答えられるようにする。
→児童になぜ学ぶのかということを聞かれて、自分なりの答えを答えられるようにする

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【こくぎ】班

できるだけ授業に関連させて社会科見学を行うこと。
理由:社会科が自分たちの身の回りに繋がっていることを確認、再確認させる機会を多くするため。

理論と実践をバランスよく取り入れること。
理由:座学だけでなく実際に外に出て学習することでより興味を引くことができるため。

先生の話だけでなく、外部講師を招き、実際の話を聞いてリアリティを出すこと。
理由:生徒を飽きさせないことと興味を持たせるため。

実生活になるべく密着した内容から始めること。グループ学習や、調べ学習などを多く取り入れること。
理由:自分で調べてみようという意識をもたせることが社会科に興味をもたせる一歩となると思うから。

暗記に関しては、ただ教えるだけでなくリズムを合わせて覚えるような工夫をすること。
理由:『良い国(1192)つくろう鎌倉幕府』などは生徒にも馴染みやすいから。

映像や写真、図などを多く用いた授業すること。
理由:視覚を通して児童に内容を印象づける効果が期待できるから。

毎回の授業で、目標を生徒に提示すること。
理由:数学のように、「今日は●●の公式を覚えよう」などと目標をはっきりさせることで生徒のやる気を引き出せると思うので。

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<グリコ班> 社会科教育の授業で大切にすべきこと

社会で生きていくための最低限の知識を身に付け、それを応用できるように
教材を学校側の提供する以外の物(ニュース、見学等)も使用し、身近なことや時事問題と関連させて授業を展開すること。
また、授業は板書中心の受け身型授業ではなく、生徒が主体的に考え、参加できるよう工夫し、積極的な物とするよう心がける。
身近なテーマを取り上げ、生徒自身に思考させる場を作ることで知識の詰め込みではない、より実践的な学習ができる。

もう一つは、物事の相互間の関わりを認識させること。
森林と雨の一つ欠けると他に影響が出る循環の関係のように、授業の知識とテレビのニュースにも関わりがあり、一つの内容が全てに繋がることを教える。
社会科教育を通して、関連づけて物事を考える重要性を教える。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この他に、<三班><テクニシャン><保体・技術A><国専A><?><?>から、出されています。

第2ステージの報告準備

差し当たり、次の心構えで用意すること。

1)担当する問題(単元)を広い視野で大きく取上げる。

2)4つの班の間で重複が生まれないように、上記1)を大まかに分担すると良い。

3)現在の日本と世界に生きる人々にとって、何か問題であるのかを大まかにでも示すことを心がける。

4)問題にいかに対処すべきかの主張よりも、その(発生)原因の解明の方に力点を割き、注意する。

5)情報収集の仕方に注意し、参考にした文献資料の一覧も、報告フリント本体とは別に三輪に提出すること。

6)発表時間は15〜20分。黒板使用可。しかし、powerpoint使用不可。

7)配布プリントは原則としてA4版2枚まで。これは前日までにEメールで送るか、当日の10時までにprintoutしたものを212研究室に持ってくれば、三輪の負担で印刷します。遅れた場合は、班の負担でB4版一枚に印刷して、90部持参すること。

2008年5月7日水曜日

資料の探し方・調べ方

1.図書館で調べる

(1)該当する分類項目の書架で、直接に本を手に取って探す。

「はしがき」と「あとがき」には著者の執筆の目的や狙いが端的に書いてあることが多い。
目次から本の内容が分かりやすいことも大事。
索引や参考文献が付いている本は、しっかりしている確率が高い。

(2)埼玉大学図書館の開架部分では、残念ながら学習用基本図書は余り良く配架されていない。

必ず、近隣の公立図書館も合わせて利用すること。

(3)文献をどうやって探せばよいのか分からない時は、レファレンス担当の図書館員(カウンターにいる)に質問する。

(4)新聞縮刷版の目次か事項索引、『現代用語の基礎知識』、『知恵蔵』、『イミダス』

2.大きな本屋へ行く

とりわけ、新書やブックレットのコーナー

3.インターネットによる情報収集

「インターネットはゴミの山」と思った方が良い。本を出版する際にあるような経済的リスクを負うことなく、ネットに接続できる人なら誰でもサイトを作り、書き込むことができる。「言いたいこと」が書かれていても、匿名やハンドルネームの場合などのように、書く人が内容に責任を負っているとは限らない。

ネット上の情報を利用する時は、
(イ)作者が判明しているもの、
(ロ)意見ではなく事実にかかわる情報、
に限った方が無難である。

例えば、官公庁のサイトは、時の政府や行政庁の立場にたった情報であふれており、その宣伝サイトであるといってよい。しかし、同時に、そこには信用度の高い調査統計資料が載っていることも少なくない。

反対に、Wikiペディアに信頼性は極めて低く、まともな報告・論文を作ろうとするときにこれを使うのは禁物である。


このようにして探してみると、<ゴミ問題>の場合には、次のようなものが参考になることが分かる:

森下研『ごみ問題をどうするか(廃棄・処理・リサイクル)』岩波ブックレット440、1997年
八太昭道『新版ごみから地球を考える』岩波ジュニア新書、2006年
寄本勝美『リサイクル社会への道』岩波新書、2003年
環境省HP
EICネット:http://www.eic.or.jp/index_category.php?category=51

2008年5月4日日曜日

第2ステージの課題

第二ステージでは、これからとりあげる単元で扱う社会問題それ自体についての勉強をする。

<扱う対象について教員自身がしっかりした認識をもつ>

小学校での授業が成り立つためには、子どもたちの学習を支え、授業を担当する者(教師)自身が、そこで扱う対象についてしっかりした認識をもっていることが、良い授業を行う上での不可欠の前提となる。教師に求められるこの前提とは、社会科の場合はつまるところ社会科学の素養ということになろう。社会科学とは社会現象についての科学・学問の総称で、そこには経済学や社会学、政治学や法学、そして歴史学や地理学などの分野が含まれている。

<万能でなければ務まらないか?>

しかし、現実には社会科の授業を担当する者が、この社会科学の全分野にわたる基礎的素養を身につけることはできない。また、それだけの広い分野の基礎的素養を総合的に身につけるまで誰も社会科の授業を担当することはできないとしたら、現実のこの社会で社会科教育を担当できる人は極めて少なくなってしまい、小学校での社会科教育はなり立たなくなるだろう。それにまた、実際の小学校での社会科の授業をすすめていくうえでは、教員は社会科学のスーパーマンでなくては務まらないわけでもない。

<二つの要請>

必要なことは、人々が生きる社会の基本的問題について科学的なものの見方を身につけていくこと。そして、社会科教育の現場に立ったときに、社会科教育を進めるために必要な情報(社会問題とその学問的研究成果)を収集し処理する能力の基礎を身につけることだろう。

このうち前者は、この学部では「社会科概説」の授業で、学習できることになっている。ところが、「社会科概説」のカリキュラム上の位置づけにもかかわらず、その内容は社会科学のある分野の「概説」であったりすることが過去にあった。また、現在の履修規定では、社会科指導法Aを履修する者の総てが、「社会科概説」を必ず履修する仕組みにはなっていない。

この授業の第2ステージでは、三つの単元で扱う社会問題それ自体についての勉強を通して、前者については、次の諸点をコメントする予定である:

1)社会現象について学ぶとはどういうことか?
  
2)事実と意見の区別

3)分析と総合

4)実証と批判

5)時空の経験的制約

6)共同の仕組み

後者については、第2ステージでの班報告作成に取り組む中で、実際に練習してもらう。

5月1日 授業メモ

080501

<Q1.社会科が嫌いな小中学生が多い理由>再考

A) 暗記

・ 受験成績+受験技術

* 受験が終われば社会科も終わり!
 苦痛経験それ自体に意味はあるか?

B)興味がもてない 

・ 自分に関係づけられない;身近でない;現実味がない

* 学ぶ主体の(今後の)行動、生活との関わり

B’)体験してない

・ 未経験、想像しにくい

* 出発点としての実感と体験、

⇒ 視野の拡大:<他者との出会いと交流>、そして<共感能力>

⇒ 概括的な把握:<抽象的思考>

C)学ぶ意味が分からない

・実生活で役立たない;なくても困らない。

* 未だに保護される立場、「社会に出て」いない立場

? (1)独習、(2)必要になった時から で良いのではないか?

? 「役に立つ」とは?

* 指導・保護される立場から、自分で判断し自分で行動する主体へ

* 個人の私益だけのためか?

D)広域すぎる

・「歴史が嫌い」となると社会科全体が好きでなくなる。

・ 何が重要/基本かが見えてこない。

* 教員、教材の問題(その1):<社会科学的素養>

E)担当の先生が好きではなかった

・ 参加型でない板書中心の受身の授業

* 教員自身の問題(その2):<市民的主体性>

2008年4月29日火曜日

4月24日 メモ


080424

【問1 社会科が嫌い、つまらない小学生が少なくないのはなぜだろう】

1.<つまらない>とは?
 なぜ、暗記がつまらないか。

認識が行動・態度決定に繋がる:

2.<認識と実践の一体性>

一体性の根源:「社会」の中に我々は生きている
(対象と主体の不可分一体性)
⇒ このことにともなうやっかいさ
「そう言うあんたはどうなんだい?」

3.認識は立場によって左右される
 <意識の存在被規定性>

限られた経験/立場 → 全体の仕組み・構造は分かりにくい

そうした限界の中で自分の位置を把握し、行動する

⇒ 他者との出会い、交流が決定的に重要

4.実感から思考へ、思考から言葉による相互伝達へ

イ)経験した知識:生身の人間の実感(自分の感覚、喜怒哀楽)
ロ)経験していない知識、実感でない知識(他者)
ハ)イ)はロ)と出会い・結びつく、相互伝達されることによって、
 イ)とは異なるロ)を知りより広い知識(ハ)をもち、
 イ)はハ)の中での知識になる

5.科学と批判

a)ハ)の総体が常識:五感を越えた<言葉による>マトメ、概括、抽象化
b)一人歩きする常識:共通の知識・共有された知識、真理として承認された知識
c)b)は絶えずイ)によって覆される

⇒ 経験生活から出発する
⇒ 「なぜだろう」「本当だろうか」

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【2007年度社会科講座1年生調査】

<嫌いな理由>

A) 暗記が苦手、つまらない。暗記ばかりでつまらない。
・覚えることがほかの科目より多すぎて覚えられない。
・年代や人物名を覚えるのがいや・難しい。

B)漠然としすぎている、掴みどころがない
・興味がない 
・体験してないことを想像だけで知ったつもりになるのがいや
*ややこしい、難しい科目だから。

C)社会科をやる意味が分からない
・実際歴史は社会へ出て必要が無かった。
・役に立っている実感は無い。数国は使うが社会科は特に使わないから。
・社会科を知っていても生きていけるが、世の中が変わっている

D)「歴史が好きではなかった」など、教科の内容が好きではない
・歴史が嫌い、地理が嫌い;できない

E)担当の先生が好きではなかった・先生が嫌いだから
・ 先生の言っていることが分からない。

【好きな理由】

A)暗記することが好きであり、覚えればテストで良い点が取れる科目だから;「覚えるだけでいいので楽だった」、努力が結果に出やすい。
暗記方法が楽しい;歴史や地理を覚えるのが楽しい
B)役に立つから
・ 世の中の仕組み、社会の仕組みがわかるから
・社会情勢を知るのが好きだから。
・身近な社会の事を学べるのでためになる;自分の身の回りのことで知らないことを発見できたから
「将来でも役に立つことが学べる」、「世界のことがわかる」など、実用性の面から  
公民が好き
C)教養が増える・得られる
・自分が生きていた元を知ることは興味があるから
・自分がどういう世界に生きているのか、社会を学ぶことで「わからないことが減る気がするから。
・授業でやったことが直接社会の出来事とつながっていて面白かった。
・生活に関係している; 社会と直結してるから・ 世界とつながってる感じがして楽しい
・いろいろなことを身に付けられる分かれば楽しい(中学生2人、同世代1人)
D) 過去(歴史)のことを知りたい; 歴史に残る人物の偉業を知れることが楽しい;歴史が好き、文化史に興味がある
E)地理を学ぶことで世界観が広がるから;身近な街並みや地図などに興味があった;世界の国の事を知るのが面白かった
F)映画、漫画の影響(同世代2人);歴史小説、大河ドラマ、歴史ゲーム
・ 現実逃避ができるから
・ ロマンがある
G)その他
・社会勉強
・自分の精神が鍛えられる
・日本の良い点を発見できる。
・社会の構造を知識として身につけること、過去を知ることは大切
H)担当の先生がおもしろかった

連絡(その1)

Eメールで各班に連絡を送りました。
早く伝わることを重視して、僕が把握している受講者のメアドに送りました.連絡責任者ではない人にも送っていたらご免なさい。

(1)問2に対する班報告

メールでの報告を7つの班から受取り、以下のブログに載せました。
http://giov3.blogspot.com/
他に二つの班から紙媒体で受取っています。
他の三つの班からの報告は、28日に研究室のポストを見ることができなかったため未だ確認していません。

良く考え抜かれた報告も少なくなく、感心しました。

(2)「地域と公共施設」の領域について

保体技術A、保体技術B、新技体、国専Aの4班は、第2ステージ(5月8日、15日)と第3ステージ(6月26日、7月3日)で取上げる単元を一つに決め、5月1日の授業で伝えなさい。

四つの班で調整することができない場合は、4月30日の内に各班の案を僕まで連絡しなさい。僕が裁定して決めます。
水問題(上水道か下水あたり)、ゴミ問題がお薦めです。

(3)班メンバー

班のメンバーを4月24日に追加した班は、そのことを報告しなさい。

2008年4月28日月曜日

問2 学校教育で社会科は必要か?

小笠原班

 最初に指定された課題の学校教育、社会の解釈が広範囲に及ぶために、自分たちの班においての定義を学校教育=義務教育、社会=義務教育までの、歴史、公民、地理として、考えたことを述べておく。

 結論を先に述べると、学校教育において社会化という科目は必要である。話し合いの中で挙げられた、それぞれの分野で学ぶことの意義をまず箇条書きで述べておきたい。

歴史→アイデンティティの確立、自国の現在、過去の立場・状況の理解、
   人生における道標(尊敬する偉人等)の発見、過去の失敗、成功からの学習、
   倫理観の構成
公民→現代社会の構成の理解、実生活に必要な制度(年金等)を知る、
倫理観の構成
地理→旅行・出張の際の地理把握、名産等の把握

 上記のような意見が話し合いのなかで挙げられた。以上のことをまとめた結果、先で述べたような結論に至った。その理由を下記で述べてレポートを終わろうと思う。

総じて人間性が豊かになり、社会性が身につくということが結論に至った理由となる。人間が他の動物と異なり、生物学上のただの「ヒト」でない理由、人間が人間たる理由は、人間が社会性を有している動物だからである。
 たしかに、上記に述べたようなことはただ生きるだけなら不必要なことかもしれない。しかし、何も知らずただ生きるだけなら人間は人間となりえず、「ヒト」としか生きられないだろう。
 現代社会において、人間は人間として生きる権利を生まれながらに所有している。決して「ヒト」としてではない。その権利を行使するためには上記のことを得ることは必要不可欠であろう。そうである以上、社会という科目は学校教育において必要である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<国専A班> Q.社会科はなぜ必要か

A.
・人間社会で生きる以上,社会科を学ぶことはよりよく生きるために必要不可欠だから
・昔のことを知ることで,現在の社会がより理解しやすくなるから
・身の回りを知り,自分の国を知り,いろいろな国を知ることで,視野を広く持てるようになるから
・社会に出て一から社会のルールや仕組みを学ぶより,学校で事前に学んでおくことで実生活で困ることや恥をかくことが減るから

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<新技体> 学校教育で社会科は不要か?

【理由】
≪地理≫
・世界を知って日本のことを見直すため
・一般常識として知らないと恥ずかしい

≪歴史≫
・過去に起きた事件や戦争などの同じ過ちを繰り返さないため
・過去のことを知って未来に生かすため

≪全体的に言えること≫
・国際化の進む今、日本人として日本の歴史や地理は知っていて当然だから
・教養を増やすことによって人生をより良いものにするため
・社会に出た時に社会を勉強しておくと便利な場面が多いから
・社会科の勉強を通じて自ら問題を見つけ、そのことについて考えたり解決する能力を身につけるため

-----------

<コンバイン> 学校教育で社会科は不要か。

答え:必要である。

社会科の中の分野ごとに、必要である理由がある。

歴史
・未来を担う子供たちが、現在までの人類の発展の経過や、それに伴う失敗を知ることで、同じ過ちを繰り返してしまうことを防ぐ。
・先人の生き方を知ることで、自らの自分史を思い起こすことになり、自己の発見にもつながる。

地理
・日本で生活する上で、日本国内の地理について知っておかなければならない。
・現代のグローバル社会の中で生きていく上で、世界を知ることで、物事を国際的にとらえることにつながる。

公民
・政治など日常生活に直結する事柄なので、日本の仕組みを最低限知っておかなければならない。
・経済を知ることで、家計を勉強し、自立の精神を生む。
・世界と日本のことを知り、また比較することで、それぞれの良い点悪い点を見つけられ、日本社会・国際社会への深い理解・貢献につながる。

ーーーーーーーーーーーー

<こくぎ> 「小学校に社会科教育は必要か?」

全員一致で「社会科は必要」

理由
・ほかの国の人たちと交流するときに歴史を知っているとコミュニケーションがとりやすいから。
・社会科以外の教科でも言えることだが、頭を使うことは脳の活性化につながるから。
・親や祖父母の世代からの伝承が少なくなり科目として存在しなければ学ぶことができないから。
・将来、選挙権を得たときにしっかりと学のある人間であるため。
・温故知新
・身の回りの出来事や事件など知り、それについて考えれば自分自身を知ることにつながるから。
・社会の仕組みがわかるから。
・高齢の方と同じ話題ができ、それについて話をすることができるから。
・過去にあった悲惨な事件を学び、くり返さないため。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<チームINO> 小中の社会科は必要か。

 必要

・戦争を忘れないため
・功績などを受け継ぐ
・社会は日本人としてのアイデンティティーを確立するため(歴史は縦軸、地理は横軸で行っている)
・地理、公民は生活するために必要だから(社会の仕組みを学ぶ)
・人間が歴史から学んだ事は(いいことも悪いことも)繰り返される=歴史から学ぶ
・世界観が広がる(多くのことに興味をもてる)

 以上の意見が出た。地理、公民は社会の仕組みを学ぶことが出来たりするので 歴史よりも必要かもしれない。生活に役立つ知識は必要だと感じる。
 歴史は以前の出来事から学ぶという点で必要だという意見になった。
 これらは前回の授業の「なぜ社会が嫌いか」という質問の回答をみても、社会を好きな理由に生活に役立つからという意見が多かった事からも言える。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<グリコ班> なぜ社会科教育は必要か

大人として一人で安全にいきてゆくための知識として
最低限の社会ルールや基盤を知っていれば後々楽に応用できる
たとえば、知らないことで騙されたりしてしまう。そして知っている人に遅れをとってしまう(社会競争にまける)
他に、国際関係の基礎をしることで世界を知り、逆に自国、自分を知る

また、人生を楽しむ選択肢が増える

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2008年4月23日水曜日

報告の分担と日程

「地域と公共施設」:保体技術A、保体技術B、新技体、国専A

第2ステージ:5月8日、15日;
第3ステージ:6月26日、7月3日

「日本の農業」:こくぎ、コンバイン、チームINO、チョコ班

第2ステージ:5月22日、29日;
第3ステージ:7月10日、17日


「明治維新」:小笠原、グリコ、三班、テクニシャン

第2ステージ:6月12日、19日;
第3ステージ:7月24日、31日

4月17日 メモ




080417 メモ

1.授業の目的

社会科教育の指導法について大学で学ぶ意味

2.集団作業を重視する意味

3. おおよその日程展開

第1ステージ:初心に立ち返って社会科教育を見直す

問1.「社会科は嫌い、つまらない」小学生が多いのは何故だろう。
問2.学校教育で社会科は不要か。
問3.どのように社会科教育をすればよいか。

三つの単元領域を取り上げる

第2ステージ:教材で扱う社会問題の全体像と要点を掴む


第3ステージ:授業案を検討する

<0417自己紹介>

1)高校と大学その他で履修した「社会科」関連科目
2)この社会からなくしたいと思うもの(三つ)
3)あなたが小さかった頃に「この世の中にはおかしなこと、変なことがある」と思った記憶
4)これまで行った一番遠い所、(それはいつ)
5)あなたの人となりを表すことについて:
・ あなたのお薦めはなに?:あなたがこれまでにやったこと、経験したことの中で、人に薦めたいこと。
・ あなたが打ち込んでいること。
・ あなたが好きなこと。

2008年4月22日火曜日

シラバス改訂版


【テーマ】

社会科を「学ぶ」ことと「教える」こととの間にあるもの

【目的】

1)社会科教育の意義と目的

2)社会科教育をなりたたせる要素と条件

を学ぶ。



<キーワード>

世の中/世間/社会、討論、協同;地域、公共、農業、歴史

【内容】


小学校3・4年の地域学習、5年の産業学習、6年の歴史のうちの小単元で扱う事項3つを取り上げ、

1)社会問題としてのその事柄の全体像を学び、教材化を検討しつつ、

2)「優れた実践」と評価されている授業案等を手がかりに授業構成に取り組む。

【
方法】


7人の作業グループを12班作り、教材研究や授業案についてのグループ報告と、それにもとづくグループ討論を軸に進める。



【展開】



<第1ステージ:準備> 
4月17,24日、5月1日


最初の3回をあて、作業グループ作りと第2・3ステージの報告を分担しつつ、
(イ)「社会科教育はなぜ嫌われるか?」、
(ロ)「社会科教育は必要か?
(ハ)「社会科教育をどう行うか?」 
の3つの問いを手がかりに、
(a)社会科教育の意義、
(b)学習主体中心の社会科教育の進め方、
などについて予備的検討を行う。



<第2ステージ:教材研究> 5月8日〜6月19日



とりあげる三つの単元の全体像を学び、その教材化を検討する。
各単元のラウンドには2回ずつをあて、二班ずつの報告にもとづき、およそ次のことを学ぶ:


 イ)現行指導要領・教科書の扱いと、問題状況の概括的把握

 ロ)問題の原因と今後の課題の検討



 第1ラウンド:単元「地域と公共施設」 5月8日、15日


 第2ラウンド:単元「日本の農業」   5月22日、29日


 第3ラウンド:単元「明治維新」    6月19日、19日



<第3ステージ:授業案の検討> 6月26日〜7月31日



とりあげる三つの単元の授業案を多角的に検討する。
各単元のラウンドには2回ずつをあて、二班ずつの報告にもとづき、およそ次のことを学ぶ:


 ハ)「すぐれた実践」の授業案の検討

 ニ)小単元と授業案作り



 第1ラウンド:単元「地域と公共施設」 6月26日、7月3日


 第2ラウンド:単元「日本の農業」   7月10日、17日


 第3ラウンド:単元「明治維新」    7月24日、31日

【成績評価方法】

(イ)グループ報告、

(ロ)グループとしての授業まとめ、

(ハ)報告した際の(ロ)に対するグループとしての応答、
(
ニ)個人報告

この4つの部分での得点から総合評価する。

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