2010年4月26日月曜日

小学校社会科指導要領批判(その1)


<ムンク>

小学校の学習指導要領を読んで、最初に思った事は、内容が難し過ぎるという事だ。表現が結構難しく書いてあって、とても分かりにくかった。一文が長過ぎるし、意図的に、頭の良い人向けみたいな文章になっている気がしてならい。

内容は「国土に対する愛情を育てる」や、「尊重する態度を育てる」などの道徳心や、国内の世界遺産を取り上げるなど伝統文化に関する事柄が多く記載されているように感じられた。

これに関して、地域を愛したり、国を愛してもらう為に、各学年において、いずれも地域や国家に貢献している人を通して、社会を理解させようとしているのだろう。しかし、当然ながらそこには社会で問題となっていること、政治問題、経済の問題などは一切触れられておらず、綺麗ごとばかり並べてあるような感じがしたし、自民党や民主党のような政府は素晴らしい、あるいは政府の問題には気付かせない様な科目として社会科を作っているような気がしてならない。そういった意味で、本当に社会を知る事は出来ないと思う。だから、生徒はこれに気付く賢い生徒と、全く気付かないでそのまま成長していく生徒に二極化してしまうだろう。

特に地理に関する記述では、やたらと地域の特産物や特色に注目させている。しかし、これだけですべての地域の特徴を生徒が理解するのは無理だし、教師もそれで理解させるのは、無理だと思った。地理の調べ学習は特色にばかり注目させているので、暗記学習になってしまっている。なので、強いて言えば、このことが社会科を、嫌いな科目とする要因に繋げていると思う。地理は、社会科の中の科目なのだから、土地柄や気候といった地理的事象を絡めて、簡単な政治的判断や、経済的な問題などを考えさせる方が、むしろ重要だと思った。

さらには、いろいろな題材の中から、先生自身が取り上げる教材を選択し、生徒に理解させるというスタンスをとっている。これは、先生を困らせていると思う。正直な話、「この中から選んで」という縛りはいらないと思うし、教師に選択させるのか、自由に教えるのか中途半端な感じになっている。

これじゃ、教師も社会科を嫌いになるだろうし、社会科を好きにさせるという意味で、学習指導要領はもっと根本的に改善するべきものであると思った。

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<ミュシャ>

・第6学年の日本の歴史の分野について、目標では先人の業績等に興味関心を持ち理解を大切にするとともに、日本の歴史・伝統を大切にし愛国心を育てると書いてある。しかし、内容になると子ども達の興味関心を育むよりも、過去の歴史を「分かること」が重点となっているように思う。内容の取り扱いでは、子ども達の興味関心を重視することを言及している。しかし、第6学年は取り扱う内容が多いため歴史の分野は「覚えること」を重視した授業になる危険性がある。また、政治の分野については、政治の重要性や役割を理解し考えることも重要ではあるが、日本の政治の問題点についてもふれて良いと思う。

・第3・4学年における内容については、学習内容・量、共に問題は無いように思える。小学校3・4年生のレベルを考えた内容になっている。それに対して、第6学年の内容は歴史と公民分野の両方を学習することになっており、1年間で学習するのにはかなりの量である。短期間で沢山の物事を学習しても得られるものは少ないように思う。また、「我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てる」という箇所があるが、これは政府の考え方を小学生のうちから教え込もうとしているように思う。

・指導要領の内容は多いが、授業での取り上げ方によっては一学年でこなせる範囲だと思う。しかし、四.五。六学年の「授業内容の取り扱い」の部分で共通している、「国旗を尊重すること」を促すことには、あまり必然性を感じない。また、ひとつの指導に対して、生徒たちの学習目的・目標をここまで細かく指導要領が指定することはないと思う。一つの事象に対して生徒たちがそれぞれ違った意見を持っているほうが自然であるし、全員に同じ解釈を求めるのはおかしい。

・指導要領の内容はわりと具体的なものが多いが、その目的があいまいというか、弱いことがある。たとえば、第3学年及び第4学年の内容の項で、“身近な地域の特色ある地形,土地利用の様子,主な公共施設などの場所と働き,交通の様子などを観察,調査したり白地図にまとめたりして調べ,地域の様子は場所によって違いがあることを考えるようにする”というものがあるが、調査し白地図にまとめたりする目的が“地域の様子の違いについて考える”というあいまいなものであるため、活動自体もあいまいなものとなり、生徒の意欲を低下させる可能性がある。


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<フライパン>

【第3学年及び第4学年】
・内容が盛りだくさんすぎる。
  教えるべき要件がかなり多い。何をどのように教えるかがかなり詳しくなっていてカリ キュラムとしては地域ごとの工夫を求めているがあまりに多くて、時間的工夫が求められる。

地域の事を中心に指導している
 興味を持たせるためにいちばん身近な範囲から始めている。地域社会の仕組みを理解させることにより、地理・歴史・公民を組み合わせて指導している。

・地域学習として、実際に見学授業を取り入れる。
地域の人々の暮らし・また地域の伝統を自分たちの目で確かめる。
受け身だけの授業ではなく、主体的に調査する力を養う。

【第5学年】
・国内を中心に指導している。
 地域だけだと狭すぎる地理が国内という範囲の広がりによって急に重点を置かれている。地理を重視しすぎている、あるいは3・4年のうちの地理の分野が軽視 されている印象がある。

・産業については知識のみ、地理重視
 内容のほとんどが産業についてではあるが、仕組みや工程などの深入りをしないようにしている。知識として持っていればよいという印象がある。一方、国土 地理は内容の取扱いがかなり具体化されている。国際化に対応する狙いがみられる。

・資料や図・グラフから読み取る
これまでは人から話を聞くことで理解を深めていたが、新聞や資料の統計を具体的に読み取る力を要求している。

【第6学年】
・国内の歴史を重視している。
 万遍なく古代から近代までをさらうように歴史が指導されている。偏りすぎる印象がある。

・国民国家を身に着けさせようとしている。
 参政権・納税の義務など具体例をあげることにより国民国家の意識がうかがえる。

・六学年になり、学習容量が急激に増加
 特に歴史において、内容が重すぎる。人物の働きや代表的な文化遺産を授業で多く扱いすぎて、頭の中で整理できなくなる可能性が考えられる。

・指令が抽象的すぎる。
 3・4・5学年においては、内容の取扱いに具体性がみられたが6学年においては、広範囲にわたるため学習内容に選択支を設けている。これでは担当教師によって差が生じてしまうと思う。

・目標が大きすぎる。
 目標に「国を愛する心」とあるが歴史に一年触れてこの心を育てるのは難しい。

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