第2ステージでは、教材で取上げようとする社会事象について<その全体像と今日の問題点>をつかみ、<教材にする上での注意点>を見つけ出すことが課題です。
1.教材化する上では、その前提として教員自身が<その全体像と今日の問題点>について相当の認識をもっている必要があります。
まず各班の報告では、
イ)取上げる社会事象の全体像を、それを知らない人にも分かるように伝えること;
ロ)その事象をめぐって今日、特に重要な問題になっている点を示すこと;
を心がけなさい。
イ)対象の全体像とは、その社会事象を認識するときに落とすことのできない事柄、事象の特徴、注目されている他の社会事象との関係などです。例えば、ゴミ問題なら、産廃から生活ゴミを含む廃棄物の現状、その発生原因、処理・リサイクルの現状、自然環境との関係。
これを大まかに報告するには、その事象の構造(それを生み出している主な要素や部分の相互関係)や、歴史的展開(発生、変化など)から整理するのがよいでしょう。
ロ)「問題になっている」とは、それが解決・克服されるべきものとして多くの人に対して問われていることを意味します。例えば、リサイクルによっても解消しない増える一方のゴミをどうするか。リサイクルの費用負担は、生産者・販売者・消費者の誰が負担すべきか、といった問題です。
この作業は、ただ物知りになるために行うのではなく、あくまでもそこから学習の素材(教材)を見つけ出し、加工するための前提作業です。
2.次に報告では、第3ステージの作業にスムースに移る準備として、取上げた社会事象を教材にする(これは第3ステージの課題)上で踏まえなくてはならない諸点を予め検討しておくことが求められます。
a.取上げる社会事象と現実の子どもたちの生活経験との関わり、接点。
b.この事象に関わる学習がより高次の学習課題へ発展させる手がかり。
c.時間的、物理的、制度的などの制約のある中で、実際に小単元(10〜15時間)で教材化する上で取りうる切り口や使える素材など。
a:子どもたちには、自分が経験していない事柄、現実の生活の中で感覚できないことを認識することは、その発達段階によってはなかなか難しいことです。生活経験との関わりがある事柄から学習は始まります。
つまり、既に知っていること、自分たち自身でできる注意や工夫によって、新たに気づいたり知ったりすることができる事柄が、取上げる社会事象のどこにあるかを見つけ出すことが決定的に重要です。
b:つまるところは、小学校の各段階で取上げられる社会事象についてのそれぞれの学習が、子どもたちが将来、自立した市民となっていくうえで求められるであろうより高次の学習に発展的に繋がるどのような可能性をもっているかの吟味です。いわば大風呂敷を大胆に描いてみることです。
c:ここではbとは反対に、「これなら実際の授業にできる」点を考えてみます。これは実際に学校現場に出なくては分かりにくいことですが、敢えて学生ならではの創意工夫をしてみましょう。
3.報告を準備する上では、まずは書籍を使うことに慣れる必要があります。埼玉大図書館だけでなく、さいたま市立図書館(北浦和、浦和駅ビル内、桜区)なども公立図書館、そして大きな本屋をチェックすること。
時間の制約から新書、ブックレット(岩波書店、かもがわ書房など)からまとまりの良いものを探すのが良いでしょう。例えば、八太昭道『ごみから地球を考える』2006年は、岩波ジュニア新書ですが、なかなか使えるものです。
新書を探すには、「風」のサイトが便利です:
http://shinshomap.info/
Web上のサイトは誰でもが簡単に作れるため、殆どが使いものになりません。Web サイトを使う場合は、作成者が分かり、かつサイト作成の意図が明記されているものから信頼に足るもの(少なくとも事実と意見の区別がきちんとしたもの)を選ぶこと。官庁のサイトが多くの場合、時々の政府の意向によって変わるように、作成者の社会的信用性と内容の信頼度は一致するとは限りません。
例えば、本川裕さんがつくっている「社会実情データ図録」は、信頼性の高いサイトです:
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/index.html
報告当日は、各班10〜15分で報告してもらいます。
その際には報告説明のための配布プリントを用意しなさい。
ミワに印刷を頼む場合は、発表週の火曜16時までにミワに直接とどける(A4版2〜4枚)。自分たちで用意する場合は、当日にB4版裏表4頁以内に印刷したものを110部。
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