A.何を学ぶか
B.何のために学ぶか
C.誰が学ぶのか
D.どのように学ぶのか
E.教室/学校で学ぶ意味は何か
F.教師の役割は何か
G.次(の学び)にどうつなぐか
A.目標と狙い
ここで前提として踏まえておくことは、<何を何のために学ぶか>の基本点です。
<何を>:それは将来社会の担い手の一員として、他の人々と共同して取り組まなくてはならないであろう問題(社会問題)に、つながっている当の子どもたち自身をもとりこんでいる今現在の社会問題になるでしょう。
この社会問題はどの時代にも同じものではありえず、むしろ人類の歴史社会の変化、そして当の子どもたちが置かれている国家社会の中で変化するものです。ある時代や社会では、炭坑や重化学工業、鉄道、兵役や納税を「国民」の義務として取り上げることがあるでしょう。南北問題や地球温暖化(気象変動)問題、ゴミ問題が、そもそも社会問題として学習指導要領でも、またほとんどの教科書でも取り上げていなかった時代もあります。
何をとりあげるか、それは学習指導要領を手がかりとしつつも、あくまでも教師集団が自主的に検討し続けるべきことがらです。
<何のために>:それは主体的に(つまり自分の意思に基づいて)取り組んでいく
<狙い>:子ども達の既有の経験、知識(出発点α)から出発して、より広く深い認識(現在人々が取り組んでいる、あるいは子ども達が将来たちm究極的には人類が直面している課題)βに繋がっていく社会的認識と実践志向(意欲)の、必要不可欠の、しかしわずかでもあっても「次の一歩」を、子ども達自らが学ぶこと。これが社会科の授業の総ての目標を考える際に共通する基本的視点です。
イ)出発点αは子ども達の既有の経験、知識からかけ離れていないか
ロ)より広く深い認識(究極的には人類が直面している課題)βに至る「次の一歩」に繋がる学習活動の道筋が、無理なく(楽しく)設計されているか。
ハ)その問題を自分たちの問題として取り組む意欲が高まって行くようにデザインされているか?⇒「評価」における態度・姿勢
B.学習単元の構成(略案)
αからβに至る子ども達の学習活動の時間配分。
学校での実際の授業時間には限りがあります。「あれもこれも」ではなく、一つでもよいから「次の一歩」に繋がる確かな学習活動を設計することが教師の最初の実際的な仕事になるでしょう。
その際に考慮すべき点は次の3点です:
第一:毎回の授業と授業の繋がり、毎回の授業の内部の展開に道筋がたっていること
<道筋>とは子ども達自身が思考し、情動のなかで確かめることができるかどうか。子ども達の思考や情動からかけ離れたものを、「偉いセンセイ」が上から降りかざし、刷り込むことは禁物です。
1)問題との出会い:再発見、驚き;
2)子どもなりの疑問、実践的意欲、
3)問いに対する答えの探求:クイズや暗記ではなく、合理的思考・推論、裏付け(問題の解決)、
4)まとめ:分かったこと・達成の確認と残された課題(疑問やより大きな問題)
第二:時間配分、所与の学校環境などから無理なく設計されていること
普通は、45〜50分の1授業時間には1つの活動
つまり、集団的人間活動の時間的限度では、一つの「問い」問題について学ぶことが限度です。
第三:楽しい(C*Dのやりとり)
C.取上げた題材の適切性
イ)子ども達に身近か:関心が持てる、疎外感がない
ロ)学級での子ども本位の学習活動で扱えるか
ハ)発展可能性(βに繋がって行く)
D.教員の触媒的活動
αからβへの子ども達自身の展開、飛躍を手助けする。
子ども達自身の展開、飛躍する姿に教員自身が感動し、そこからも学ぶ。
教員自身も学ぶ。
落水型(誘導、説教、恫喝など)は禁物
E.学校・学級という集団的学習環境を活かしているか
F.その他
「教材観」:ここではとりあげる題材が、Aの点で適切であることがメモされればよい。Cについて触れても良い。
「指導観」:ここではDとEの点で適切であることがメモされればよい。
具体的には、
(イ)授業の略案(単元の授業計画の大まかな構成と流れ)、
(ロ)導入部分の一時間の授業計画
以上の二つを作成し、それぞれB5版2枚以内にまとめたものを提出しなさい。
当日は、(イ)について簡単な説明をしてもらった後、(ロ)を約20〜25分「模擬授業」してもらいます。
これらの作成に当たっては、
1)身近で経験できる事柄で、それが関わる社会問題へのより広く深い認識へ広がる可能性をもった事柄を、授業の題材としてとりあげること。
2)各授業時間の主要な「問い」(発問)や、取り組む活動は一つに絞ること。
3)子どもたちの興味関心を、身近で経験できる範囲や事柄から、それが関わっている社会問題へとより広く深い対象へと発展させ、認識を深めることを促す上での、教師の触媒的活動や働きかけに工夫をこらすこと。
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