2011年5月14日土曜日

第2ステージの報告課題

第2ステージでは、教材で取上げようとする社会事象について<その全体像と今日の問題点>をつかみ、<教材にする上での注意点>を見つけ出すことが課題です。

1.教材化する上では、その前提として教員自身が<その全体像と今日の問題点>について相当の認識をもっている必要があります。

まず各班の報告では、

イ)取上げる社会事象の全体像を、それを知らない人にも分かるように伝えること;

ロ)その事象をめぐって今日、特に重要な問題になっている点を示すこと;

を心がけなさい。

イ)対象の全体像とは、その社会事象を認識するときに落とすことのできない事柄、事象の特徴、注目されている他の社会事象との関係などです。例えば、ゴミ問題なら、産廃から生活ゴミを含む廃棄物の現状、その発生原因、処理・リサイクルの現状、自然環境との関係。

 これを大まかに報告するには、その事象の構造(それを生み出している主な要素や部分の相互関係)や、歴史的展開(発生、変化など)から整理するのがよいでしょう。

ロ)「問題になっている」とは、それが解決・克服されるべきものとして多くの人に対して問われていることを意味します。例えば、リサイクルによっても解消しない増える一方のゴミをどうするか。リサイクルの費用負担は、生産者・販売者・消費者の誰が負担すべきか、といった問題です。

この作業は、ただ物知りになるために行うのではなく、あくまでもそこから学習の素材(教材)を見つけ出し、加工するための前提作業です。

2.次に報告では、第3ステージの作業にスムースに移る準備として、取上げた社会事象を教材にする(これは第3ステージの課題)上で踏まえなくてはならない諸点を予め検討しておくことが求められます。

a.取上げる社会事象と現実の子どもたちの生活経験との関わり、接点。

b.この事象に関わる学習がより高次の学習課題へ発展させる手がかり。

c.時間的、物理的、制度的などの制約のある中で、実際に小単元(1015時間)で教材化する上で取りうる切り口や使える素材など。

a:子どもたちには、自分が経験していない事柄、現実の生活の中で感覚できないことを認識することは、その発達段階によってはなかなか難しいことです。生活経験との関わりがある事柄から学習は始まります。

 つまり、既に知っていること、自分たち自身でできる注意や工夫によって、新たに気づいたり知ったりすることができる事柄が、取上げる社会事象のどこにあるかを見つけ出すことが決定的に重要です。

b:つまるところは、小学校の各段階で取上げられる社会事象についてのそれぞれの学習が、子どもたちが将来、自立した市民となっていくうえで求められるであろうより高次の学習に発展的に繋がるどのような可能性をもっているかの吟味です。いわば大風呂敷を大胆に描いてみることです。

c:ここではbとは反対に、「これなら実際の授業にできる」点を考えてみます。これは実際に学校現場に出なくては分かりにくいことですが、敢えて学生ならではの創意工夫をしてみましょう。

3.報告を準備する上では、まずは書籍を使うことに慣れる必要があります。埼玉大図書館だけでなく、さいたま市立図書館(北浦和、浦和駅ビル内、桜区)なども公立図書館、そして大きな本屋をチェックすること。

時間の制約から新書、ブックレット(岩波書店、かもがわ書房など)からまとまりの良いものを探すのが良いでしょう。例えば、八太昭道『ごみから地球を考える』2006年は、岩波ジュニア新書ですが、なかなか使えるものです。

新書を探すには、「風」のサイトが便利です:

http://shinshomap.info/

Web上のサイトは誰でもが簡単に作れるため、殆どが使いものになりません。Web サイトを使う場合は、作成者が分かり、かつサイト作成の意図が明記されているものから信頼に足るもの(少なくとも事実と意見の区別がきちんとしたもの)を選ぶこと。官庁のサイトが多くの場合、時々の政府の意向によって変わるように、作成者の社会的信用性と内容の信頼度は一致するとは限りません

例えば、本川裕さんがつくっている「社会実情データ図録」は、信頼性の高いサイトです:

http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/index.html

報告当日は、各班1015分で報告してもらいます。

その際には報告説明のための配布プリントを用意しなさい。

ミワに印刷を頼む場合は、発表週の火曜16時までにミワに直接とどける(A4版2〜4枚)。自分たちで用意する場合は、当日にB4版裏表4頁以内に印刷したものを110部。


2011年5月11日水曜日

4月28日 講義メモ


(続き)
3.次の社会の新しい担い手形成

3−1)個人の人生で、個人の努力だけで実現できるものは限られている。
   eg. 就職:「実力」の有無にかかわらず、雇用動向によって左右される。
    結婚:イケメンでも稼ぎ、カネがなくては。
    受験:学力なくてもカネあれば、、、
    賃金や労働時間:悪くされたくなかったら?
    病気や障害:根性で直せるか?
    年金:減らされたくなかったら制度を変えるしかない。
3−2)人々との繋がりの中にある個人

 かけがえのない個人:後にも先にも自分・君は一人だけ
 生前の制約:単に生物的制約だけでなく、生まれた時代、地域、家族など
 生きている間の制約:自己努力、自己責任だけで人間らしい生活ができる人は例外的存在;物質的依存関係(経済)、精神的関係、生物的身体的関係など
 死後との係わり:「何のために生きるのか?自分の人生の意味はどこにあるのか?」
  多かれ少なかれ、後の世代との関係からの制約

3−3)個人の努力や意志の彼方にあるような社会関係の力
個人(VIPでも)が左右することができる社会事象の範囲は限られている。
   eg. 景気・不景気の「波」
「前からあった」自然の光景を同様に説明される法律、政治制度
「歴史の流れ」の結果(だから免れないもの)と説明される現在の事象

 cf. 人々の意識は、根拠のない幻想・錯覚であっても現実を作り出せる:トレペ品不足騒ぎ

3−4)人々の集合的行為の結果としての社会関係、社会制度

3−5)公共というもの: public と オホヤケ(大宅)
    public 語源はラテン語の publicus:pubes(adult)に由来する、
また、 poplicus, populus : people とも
「民衆のもの、総ての者に開かれたもの、民衆の共通のもの」といった意味
「公」は、本来はオホヤケ(大宅、大家)の意で、ヲヤケ(小宅)に対し、天皇、権力者などを指した。
幕末維新期に public に漢字を当てた際に用いたのがこの「公」

 * 多くの人々にとって(共通に)必要であって、かつ個人ではまかなえず、それには共同の営みによる必要がある事柄。
 いわゆる目に見える公共施設だけでなく、日常生活のルールから国家や世界の制度やその運用の仕方など、目に見えない、しかし共通に必要な事柄。

3−6)公共の事柄の担い手:<市民>

 単なる私益の追求者ではなく、公共の事柄に、他の人々と共に携わる
(自立した)個人。

 * 「公民」という言葉のまやかし性
古代の公民は、土地が公地と呼ばれたように、オホヤケ(天皇)の所有物であった。
日本近現代で民衆は臣民(天皇の臣下)と呼ばれた。
  
4.将来世代にとって「次の社会」は、「日本」/日本列島に存在する社会だけか?

 <世界市民>へ

2011年5月3日火曜日

4月21日講義メモ


「とほほ」な社会科 どうする? 要らない?

Q1.それまでして我慢しなくてはならないのか?

何のための社会科学習?

Q2.(必要だとしたら)何を学ぶべきか?

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1.先週の議論を振り返る

<肯定的経験>

イ)見学

ロ)調べ学習

ハ)地図作り、新聞作り

* 自分が興味をもてたもの ⇒ これは他の教科でも同じではないか?

* 普段では体験できないこと、知らないところ;

* 体感する、五感を動かす = <実感>から発する

⇒ 「将来に必要」と感じることになるのか?

<否定的経験>

a.暗記量が多い/範囲広範 → 受験競争によってもたらされたものではないか

* 「座学に耐えることも学習の一つ」という転倒したマゾっぽい意識 masochism

* 語呂合わせ、ゲーム化したら楽しかった

⇒ 学びとは暗記ではなく、<思考>が必要ではないか?

b.座学 → 学校の制度的制約:学級規模、設備、予算など

c.意味/意義不明に耐えること自体に意味がある!?

⇒ 結果(より深く広い理解など)を伴っていれば:eg. 運動競技、演奏など

2.にも拘らず何故?

1)様々な意見

 イ)社会の成り立ち、仕組みを知る ⇒ 成り立ち、仕組みとは? 知るとは?

 ロ)「社会に出る」ための必要最小限の知識 ⇒ 何が必要最小限の知識?

 ハ)「現実社会に適応する」、「感謝の気持ちをもつ」、「ルールを知る」;「社会発展に貢献しようとする態度を育てる」

* 前者「適応、感謝」などは現状肯定を前提する。これと後者「発展への貢献」、即ち現状のより高次への改変は両立しない。

「現状のまるごと肯定」意識を強化し、再生産することに社会科の意義はあるのか?

 ニ)社会事象に興味をもたせること、自発的学習を促す、自ら学ぶ姿勢を作ること自体に社会科の目標がある!

2)現実の社会科教育が果たしている社会的機能はどのようなものか?

社会変化に「対応/適応する」能力形成 → 変化が大きい:情報量が不可逆的に大きくなる → 負担が大きくなる + 暗記スタイル → 苦痛、忌避感情

* 現在の秩序の(無批判の)肯定、受容

* 社会事象に向かい合う態度の拒否、忌避の促進

ーーーーーーーーー

→ より良くするため:そのためには現状の良くないところを認識できなくてはならない。「現実社会に適応する」「感謝の気持ちをもつ」といった姿勢でそれが出来るか?

「現実社会に適応する」「感謝の気持ちをもつ」にしても、「社会発展に貢献しようとする態度を育てる」ことにしても、双方共、そうした<価値観の押しつけ>ることではないのか?

<「社会科は必要か?」まとめ>

1.客観的機能:

1−1)社会科嫌いを大量に作り出している。

その結果、社会事象に対する無関心を拡げている。

無関心であることも現実社会の変動要因として機能する:支配エリートにとって好都合。

eg. 政治、社会問題への無関心、

1−2)「現実社会に適応する」「感謝の気持ちをもつ」といった姿勢は、現状肯定派を増やす

2.それでも個人的利益のため? 「社会に出てから役立つ」?

「社会に出てから」学んだ方が効率よく、また役に立つのでは?

 独習で済むのではないか? > なぜ学校で学ぶ必要があるのか?

2011年4月30日土曜日

第2ステージの作業グループ


第2ステージでは、前回に各班から出された希望を踏まえ、a) 廃棄物処理(ゴミ問題)、c) 販売業(スーパー、コンビニ)、e) 通信業(マス・メディア)、g ) 異文化理解、国際交流4つのテーマを取上げることにします。

各テーマの作業グループは、以下のように割り当てます:

5月19日・廃棄物処理(ゴミ問題):再履2、ソーダ、ハーバー、肉じゃが、写実派。
5月26日・販売業(スーパーまたはコンビニ):再履3、レベル1、片栗粉、ロココ。
6月2日・通信業(マス・メディア):再履1、キュビズム、チロル、バロック。
6月9日・異文化理解、国際交流 :セブン、グンソク、コシヒカリ、印象派。

第2ステージでは、取上げるテーマの概要と要点をつかみ、子どもたちの生活経験との関わりを見つけ出すことが課題です。





第3回課題:学習指導要領の検討


<課題>
現行の小学校学習指導要領・社会科の内容を、4月26日の授業(班からの意見、及びミワのコメント*)を踏まえて、各班で改めて討論し、以下の要領で報告を作成し、期日迄に提出しなさい。

* ライフラインに関わる公共的活動や産業活動は、一つを選択するか、それとも重要なものを総て行うか;「同心円型」の段階を踏むか、初めから現実社会のグローバル化状況に見合った取上げ方をするか;「公民」分野の内容を6年生以前から取上げるべきか;歴史を「重要人物」本位か庶民・民衆本位で取上げるか;
◎ 学習指導要領に法的拘束力をもたせることは、その内容がどのように「良い」ものであっても、憲法で謳われている基本的人権(教育の自由)に反すること;現場では事実上の拘束力があること;学習指導要領にはしばしば時々の政権の政治的利害が入ること;子どもたちの生活や関心の実際を踏まえることは、現場の教師にこそ可能なことであって、学習指導要領を作る文科省にはできないこと;
[ミワのコメントなどは、近日中にまとめ、このブログに載せます]


<班報告要領>
・ 締切り:5月10日(火曜)17時
・ 提出先:法学研究室(B212)ポスト
・ 様式:A4班、横書き(鉛筆書きのものは受理しません)、ワープロの場合は1ページ40字×40行以内。字数・枚数制限なし。
・ 取りまとめをした者の氏名を明記すること。
(eメールの場合は、同日12時まで。.txt または、.docファイルで作成したものを添付し、かつ本文に原文を張付けること)

2011年4月15日金曜日

第1回課題と注意


社会科についての君の肯定的経験(面白かった、理解が深まった、等々)と否定的経験(つまらなかった、何のためやっているのか分からなかった、等々)との検討を通して、社会科学習の意義について、君の考えを整理しなさい。

締切り 4月19日(火)17時 B−212法学研究室前の受付箱へ提出のこと。
鉛筆書き不可。
この授業受講期間を通して保存できる任意のB5版用紙を使うこと。

<注意>
まだ、連絡担当からのメールが届いていないグループが2つあります。
タイトルにグループ名、本文にメンバーの氏名、学籍番号の一覧を記したメールを送ること。



2011年4月14日木曜日

2011年度 授業計画



授業の内容:小学校社会科で取上げられる4つの単元領域から、各1つずつの学習テーマを選び、

(1)その対象領域の今日的問題状況を概括的に学ぶ(ステージ2)ことを前提として、

(2)これを社会科学習の小単元として構想する(ステージ3)こと、

そして(3)導入部分の授業展開を組み立てる(ステージ4:最終レポート)ことに取り組む。

とりあげる小単元としては、

3〜4年生で「地域の人々の生活にとって必要な」として取上げられる廃棄物処理(ゴミ問題)または上下水道(水問題)、販売業(スーパー、コンビニ)

5年生で取上げられる「通信などの産業」(農水林業、工業、運輸通信業)、

6年生で取上げられる「我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活の様子」(異文化理解、国際交流)、あるいは歴史(現代社会の変貌、維新改革など

を扱う。

授業の方法:

6〜7人の作業グループ(班)を作り、上記(1)〜(3)を各4回ずつからなる2つのステージに分け、毎回4〜5班が分担して集団作業による報告(文章化は全員が順に担当する)をし、班を単位とした討論および教員による批評と指導を行う。報告をした班は、その担当回の討論などで出された意見などを踏まえて「応答報告」(文章化は全員が順に担当する)を提出する。

各ステージを通して、「応答報告」を踏まえて教員からそのステージの全般的なまとめと問題提起を行い、全体討論したうえで、次のステージの作業課題を明確にする。

授業展開(スケジュール)

第1回 授業全体の構想説明と作業グループ作り、第1ステージの準備打ち合わせ。

作業グループは、a) 廃棄物処理(ゴミ問題)、b) 水道(水問題)、c) 販売業(スーパー、コンビニ)、d) 生産業(農水林業か工業)e) 通信業(マス・メディア)、f) 歴史(現代社会の変貌、維新改革など)、g ) 異文化理解、国際交流 等から4つのテーマを選び、各テーマに45グループずつ作る予定。

4月14日 1)学校でなぜ社会科か? 

  21日 2)社会科で何を取上げるのか? 対象と系統

  28日 3)面白い社会科の授業とは?

5月12日 4)授業作りのツボ and 第2ステージ準備について

<第2ステージ:問題の概要と要点をつかみ、子どもたちの生活経験との関わりを見つけ出す>

<第3ステージ:小単元を設計してみる>

全体まとめ:6月2日の授業が教育実習研究授業のため休講になった場合には、補講日程で適宜に行います。

介護実習による欠席者には別の課題を課します。

学生へのメッセージ:すぐに役に立つものは、直ぐに役に立たなくなる。

 自分が関心をもつ社会問題を追いかけていき、ネタの集め方に習熟しよう。

オフィスアワー:木曜 3時限

連絡先 電話番号:048.858.3200

連絡先(メールアドレス):takmatmail.saitama-u.ac.jp

連絡先(ホームページ、その他):http://giov3-4.blogspot.com


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